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うつ病の治療が行き詰まっている人へ。薬以外の手段で良くなる方法を解説します

 

うつ病の治療が行き詰まっている人へ。薬以外の手段で良くなる方法を解説します

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00:00 OP
02:26 カウンセリングの前に必要なこと
07:05 主観2.0
15:23 なぜ治療(変化)を拒むのか
18:23 抵抗を取る

本日は「薬以外の方法でうつを治す、精神疾患を治す」というテーマでお話ししようと思います。

精神科の治療は大きく3つに分けられます。
1つ目は薬物療法
2つ目は今回説明する精神療法、いわゆるカウンセリング的なもの。
3つ目が福祉導入です。社会調整、環境調整などと呼ばれます。障害年金を取る、休職して傷病手当を取る、手帳や自立支援を取る、場合によっては生活保護を取る。このようなことを福祉導入と呼びます。

よく精神科は診断をして薬を出すだけで終わってしまうと言いますが、2番目の精神療法もやっています。
ただ、やっているのですが、いまいち何をしているかよくわからない。言葉だけで相手を理解する、言葉だけで相手を癒すというのが嘘のような気もするし、でもやってもらいたい気もするし、いつも悩むと思います。

今回は実際どういうことをやっているのか、どんなものなのか、ざっくりと全体像を語ってみようと思います。
これはナントカ療法というものではなく、僕が学んできた色々な精神療法のエッセンスをあわせたものです。
自助会の人や色々な人に説明するときに使っている説明です。

もう少し専門的な話をしようとすると話が長くなるのですが、臨床でやっている流れをざっくり理解してもらえたらと思います。
これ違うよとかこういうところが気になるよという方は、もっと専門的なものを見てください。
あくまで僕の診療の考え方を知ってもらうために出しています。

■カウンセリングの前に必要なこと

まず精神科の治療において大事なことは何かと言うと、診断をして薬物治療を導入する、福祉を入れるということもありますが、きちんと診断をする、きちんとその人の今の状態を把握するということです。

いきなりカウンセリングを始めれば良いと言うわけではありません。
まずその人がちゃんと安全な環境にいるのかが大事です。衣食住が足りているのか。当面の間生活できるだけのお金はあるのか。休む場所はあるのか。安全を確保できるのかがポイントです。

例えばDVの夫がいるときに、「私がこのDV旦那を選んでしまったのは、私がもともと親に虐待を受けていたからなんです」といってアザができているときに、「じゃあ、カウンセリングを始めましょうか」とはなりません。
カウンセリングを始める前に安全な場所を確保する。

「もう死んでしまおうと思うのですが、死んでしまう前にカウンセリングを始めようと思います」と言っても、それは始める場合ではありません。まずその死んでしまいたいという気持ちを治していく。
安心な場所を作っていくことがとても重要です。
安全性を確保した上で、最低限の楽観性というかポジティブな気持ちを取り戻してもらうことが必要です。

「世の中はクソなんだ」「もう人生終わってるんだ」という人に対して、これからカウンセリングをしましょうかと言って過去の話などしても、さらに絶望して苦しくなるだけです。
そういう人にはカウンセリングはしません。

そういう人とは信頼関係をきちんと作ることができないのです。
治療はポジティブなものだという最低限の楽観性や最低限の信頼感がない時、医師に頼っても良いのだ、医師は治してくれるのだろうという期待がないときに、「益田、オレを治してみろよ」みたいな時にカウンセリングを始めても絶対うまくいきません。

そういう時は、カウンセリングではなくまずは話をゆっくり聞いてあげて、支持的傾聴をしてあげます。
そうだったんだね、辛かったね、あなたも頑張っているのにね、と優しい言葉をかけながら信頼関係を作っていくことが大事です。

その中で、こんなに優しい人もいるんだな、ちゃんと話を聞いてくれる人がいるんだな、自分と一対一で対等な目線で考えてくれる人がいるんだな、という理解が必要です。

最低限の楽観性がない人は、そのような経験をしたことがない人が多いです。
親がちゃんと話を聞いてくれなかった、むしろ殴られていた。学校の先生から誤解されていた、会社の上司から誤解されていた、友達も全然理解してくれなかったなど色々なパターンがあります。
最低限の楽観性がまずあるかは結構ポイントです。

それがなくて世の中を恨みきっている、傷ついて恨んでしまっている、周りに対して攻撃性がある。その攻撃性が自分に向かっていてどんどん自分を傷つけることしか考えられない時にはカウンセリングは次には進めません。
まずは休んでもらう、そして安全な場所を確保する。
そして最低限の楽観性を確保してもらうことが大事です。
この段階はとても大事で、下準備は重要です。

例えば親子問題を考えていく中で、「親のせいで」とずっと考えてしまっている人がいるのですが、そもそも親なんて大したことがないのです。

確かに嫌な思いをさせられたし苦しい思いをさせられたけれど、父親なんて1人のおじさんです。そこら辺にいるおじさんとそんなに変わりません。
血がつながっていてもそこら辺のおじさんと変わりません。
自分の親だと強大な敵に見えてしまうことがありますが、そんなものではなくそこら辺にいるおじさんです。

それに人生を左右されるのかという目線が大事です。
その俯瞰性があるのか、最低限そこら辺の知的な理解、同意が取れているのかがポイントです。親子問題でカウンセリングをするならば。

家のことなんて社会の一部です。
そしてその社会でさえ時代が変われば価値観は変わってきます。
こういう俯瞰性があるのかないのかはポイントです。
これがないとカウンセリングは進められないなと思います。

■主観2.0

安全な場所を確保できました、治療者のことを信頼することもできるし、これから治していこうというモチベーションを持つこともできます。
自分は治っていくんだろうなという漠然とした確信、今は想像できないけれど、良くなるかもしれないな、信じてみようかなという気持ちになったら次の段階に進むことができます。

カウンセリングとは何か、精神療法とは何かと言った時に、基本的には科学です。
対話によって治療をしていくというのは、教会でやられていたことです。
これらを現代的にしていった、聖書の教えではなく科学の目線でメスを入れたというのが心理学の始まりであり精神医学の始まりです。

科学はそもそも聖書の教えを疑って、聖書の教えから離れたところからスタートします。
科学と言うのは何かと言うと、主観的ではなく客観的にものを見るようになった、ということです。客観的にものを見て法則を見出し合理的な行動を取るというのが科学的なものです。

これを物理や科学の世界だけでなく、人間の心や行動にも当てはめてみようというのが、精神医学であり心理学の始まりです。

患者さんから聞いた主観的な話を、客観的な話に置き換えていくというのがまず最初のステップ。
客観的に考えられるようになってから、主観的な行動を取るということが2つ目のステップです。

宗教の時代であれば、「あなたはこういうことで悩んでいるんだね。聖書にはこういうふうに書いているから、こうしましょうよ」という意見でした。
神様はこう言っているから人を恨んでいけないよ。聖書ではこう書いているから貧しい人にも援助しなきゃいけないんだよとかそういうことを言っていました。基本的には。
教会の神父さんがシャーマンであったとき、ヒーラーの役割をしていたときには、そういうやりとりをしていたと思います。

ただ、ヒーラーの役割が僕ら精神科医とか心理士に移ってきたときにはどうしたかというと、患者さんの話を聞いて、それを客観的なものに置き換えました。
例えば「私は上司に嫌われていると思うんです。周りの人からも嫌われていると思うんです」と言ったときに、聖書だったら「嫌われていてもあなたは愛しなさい」と言うかもしれない。

概要欄続きはこちら(字数制限のため)
https://wasedamental.com/youtubemovie...

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治りたいのに、なぜ変化を拒むのか? 抵抗について
https://youtu.be/3dTrX90A_08