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コロナ回復後の高齢者 「廃用」で元の生活に戻れない人も【新型コロナ】

コロナ回復後の高齢者 「廃用」で元の生活に戻れない人も【新型コロナ】

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13,899 回視聴  2021/03/25
新型コロナ感染後に「廃用症候群」と呼ばれる状態に陥る高齢者が増えています。コロナから回復しても体が思うように動かなくなり元の生活に戻れない、高齢者の現実を取材しました。

 都内にある特別養護老人ホーム。入り口に赤い線が引かれた部屋では、当時、コロナの疑いがある入所者が生活していました。この施設では1月、高齢者74人と職員20人が感染するクラスターが発生しました。今月15日、感染は収束しましたが、病院でコロナの治療を終え、施設に戻ってきた入所者の様子を見て、スタッフは驚いたといいます。
 
 「10日ないしそれ以上の入院をベッド上でされていたということで、かなりの衰弱まではいかないまでも、いろんな意味で身体機能の低下も含めた、全身状態の悪化が見られた。お年寄りが廃用症候群といいますか」(介護福祉士 広瀬裕介さん)
 
 「廃用症候群」、それは病気の治療などで長期間安静にしたために、病気自体は治っても筋力や食欲、認知機能など全身の様々な機能が衰えることをいい、そのまま寝たきりになってしまうおそれもあります。この「廃用」が、コロナから回復した高齢者に多くみられるというのです。
 
 必死に足を持ち上げようとする91歳の女性。以前は杖を使って歩けていましたが、去年10月に転んで、太ももの骨を折り、入院。手術を受け、リハビリをしていたところ、病院内でコロナに感染してしまいました。軽症だったため、コロナ治療は20日間で終わりましたが、退院後も自宅に帰れず、介護老人保健施設での生活を強いられています。
 
 「コロナの感染が追い打ちをかけて長期がしょう(=寝たきり)を強いられたと。そういう(寝たきりの)期間も長かったので、身体機能が落ちてしまったので、在宅復帰は困難だということで、我々のところに入所してきました」(南池袋介護老人保健施設アバンセ 折目由紀彦施設長)
 
 女性は、コロナの専門病棟にいた20日間をほぼ寝たきりで過ごしたといいます。歳をとるごとに筋肉量は減りますが、高齢者の場合、2週間寝たきりで過ごすと7年分老化するのと同じ量の筋肉を一気に失ってしまうとも言われています。
 
 「膝はどうだった?」
 「ちょっと痛かった。ちょっとぐらいでね」(女性)
 
 女性はいまも1人で歩くことができず、施設で歩く練習を続けています。特にコロナ患者は治療中、自由に動くことも、家族と面会することもできないことが多く、「廃用症候群」になりやすいといいます。
 
 「コロナ患者というのは、普通の病院に入ると隔離されますよね。お体のリハビリとか、認知症のケアとか、生活機能をサポートするのがどうしてもおろそかになりますよね」(南池袋介護老人保健施設アバンセ 折目由紀彦施設長)
 
 感染が拡大するたびに、「廃用症候群」の高齢者も増えてしまうのではないか。現場は危機感を抱いています。
 
 「本来だったら歩けるんだけど、歩けなくなる人が出てきたり、認知症もうちょっと回復するんだけど、そうじゃない人が出てきたりする可能性がすごくあると思います。介護の手間がかかる人がどんどんどんどん増えていくと思います」(南池袋介護老人保健施設アバンセ 折目由紀彦施設長)
(25日14:39)