シニア情報局

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リチャード・ D・ルイス 異文化間コミュニケーション

 

その他海外に関する話題「国別の思考パターン」

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リチャード・D・ルイスの分析

世界の文化を大きく3つの型に分類

・線上行動型:計画し、スケジュールを系統立て、行動の関連性を追求する。
一定の時間には一つのことしかしない。代表的なのは、ドイツ人、スイス人。

・複合行動型:一時に多くのことをこなすが、優先順位は自分にとってわくわくする
こと、重要であることから付ける。時系列のスケジュール通りには動かない。いきい
きとした多弁な人たち。代表的なのは、イタリア人、ラテンアメリカ人、アラブ人。

・反応型:礼儀や敬意を優先する文化。相手の言うことに静かに穏やかに耳を傾け、
相手の提案にも注意深く反応する。代表的なのは、中国人、日本人、フィンランド人。

 

代表的な国の交渉パターン

フランス人:論理で相手を負かそうとする。交渉の始めから活発に討論し、言葉を武
器として使うのに長けている。終始礼儀正しい態度は崩さないが、相手が非論理的な
ことを少しでも言うと、すぐそこをかみつく。自分の論理が打ち破られない限り、譲
歩することはない。米国人とは対照的に、交渉が最終段階に入るまで自分の手の内を
見せようとせず、議論を長引かせようとする。

英国人:交渉の時も、概ね控えめで、マナーを守り、ユーモアを交えることで直接的
な対決を避けようとする。その姿勢は大きな成果を上げる時もあるが、まったく役に
立たない時もある。相手の提案に露骨に反対することはあまりなく、「それは面白い
イデアですね」などと言いながら、拒絶のニュアンスをこめるような、曖昧な態度
を取ることも珍しくない。反対意見がなくても、英国人が一度目の会議で結論を出す
ことはめったにない。急ぐことを嫌うからである。

ドイツ人:論理的で、多くの論拠を集めて主張する傾向は、英国人やフランス人より
も強い。時間の使い方が一本の直線をたどるようで、一つの議論を終えてからでない
と次の議論に移らない。自分の主張を簡単には引っ込めないが、見解の一致点を見出
そうという努力はする。その時が相手にとって、交渉を進展させるチャンスになる。
ドイツ人は米国人や英国人と違って、会議の席でのジョークやユーモアを好まない。
冗談は口にしない方が良い。

スペイン人:交渉の始めから、相手との会話に時間をかける。感情を込めてロマンテ
ィックに雄弁に話すのだが、それは相手との間に友情や信頼を育んで、交渉を成功さ
せる下地にするためだ。彼らは非常に人間味に溢れる人たちなので、堅苦しい席で冷
静に付き合うのはほどほどにしておこう。夜、酒を飲みながら自分のことを率直に話、
打ち解ければ、交渉の様々な場面を経た後、良き友人として強い好意や信頼を寄せて
くれるようになる。

イタリア人:スペイン人と同じく雄弁で饒舌、様々な感情を込めて大声で話し、自在
に口調を変える。会議では、議論の流れにあまり従わず、すでに決まったはずの議論
に戻ったり、後に出てくる予定の話題について唐突に話し始めたりする。一方、柔軟
性も十分にあって、他のヨーロッパ人よりも自分への批判を受け入れる。その柔軟性
はまた、法律やルールを厳密に守らないという点に表れる。

中国人:概ね、日本人や他の一部のアジア人より率直。ただし会議の主な目的は情報
収集であり、本当の交渉や意思決定は水面下の他のところで行われることが多い。時
に対決姿勢を示したり、地位の高い者が権力を使って物事を進めようとしたりするが、
基本的に態度は丁寧だ。また、中国人の交渉のスピードは遅く、繰り返しが多いが、
絶対に彼らのメンツを潰すようなことはしてはならない。ちなみに香港人は、中国人
よりはるかに迅速に交渉して、結果を出す。

インド人:とにかく相手を誉め、批判しないので、礼儀正しさを感じさせることもあ
る。基本的に態度は柔軟だ。ただし、彼らが話す英語は冗長かつ非常に曖昧。また、
交渉の進展によっては、平気で「事実」や「状況」が変わったものとして話を進めて
くる。値段の駆け引きの巧妙さと粘り強さにかけては、おそらくインド人の右に出る
ものはいない。いったん取引が成立したかに思えても、またあれこれといろいろな理
屈を言って値段の変更を求めてくる。彼らと交渉するには、かなりの忍耐強さが必要
である。

韓国人:エネルギッシュな会話で早急に取引をまとめようとする。欧米式のユーモア
で相手を惹きつけたり、非常に真剣で熱心な姿勢になったりと、様々な顔を見せる。
時には事実を誇張したり、「真実かもしれないこと」を真実だと主張したりするケー
スもある。何も実行していないのに、すでにやったと言い張る人もいる。歴史的に不
安定な立場に置かれた時期が長かったせいか、長期的、独占的な契約を結びたがる。

日本人:協調的な雰囲気の中でビジネスを進めようとするので、調和を乱すようなこ
とをしてはいけない。率直すぎる態度は、往々にして歓迎されない。意思決定をする
ことを嫌い、次第に合意を積み重ねていくことで自ずから決定が形成されていくこと
を好む。スペイン人と良く似て、気に入ってもらい、信用されるようになることが重
要である。ドイツ人と同様に会議の席でのユーモアやジョークを好まない。