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辛いときに「考えない」方法について解説します

 

この技術は知らないと損。辛いときに「考えない」方法について解説します【精神科医が一般の方向けに病気や治療を解説するCh】

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00:00 今日のテーマ
00:50 なぜ考えない方が良いのか
03:26 方法1「抑圧」
05:40 方法2「合理化」
07:36 方法3「納得する」

今日は「辛いときに考えない方法」について解説しようと思います。
僕はよく臨床で患者さんに「それは考えない方が良いですよ」とアドバイスするのですが、そう言われてもついつい考えてしまうものです。僕もそうですが。

考えてしまうのですが、考えないようにしないと考えないようにはなりません。「考えない」というのも立派なスキルなので、そういったマインドの作り方を学んでいただけたらと思います。

<なぜ考えない方が良いのか>

・急性期は考えない
うつが酷い時、躁が高い時は考えない方が良いです。回復期に入るとその時に悩んでいたことは大体忘れているので、考えても仕方がないのです。もし悩み過ぎてしまうならば、薬を少し増やして鎮静をかけた方が良いこともあります。

・トラブルの渦中は考えない
トラブルの渦中でめちゃくちゃ悩んでしまうことがありますが、これもトラブル後には悩まないことが結構あります。

例えば、パワハラ被害にあっていると「自分の仕事のやり方が悪かったのかな」「そもそもパワハラ上司に会う前から鈍臭かったし、人に嫌われやすかったな」などと悩むことが多いのですが、これはNGです。パワハラ問題が解決したら悩みません。
トラブルの渦中にいるときは、考える項目を選ぶ、一部だけ考えることが大事です。

・自分を責めるだけなら考えない
アルコール依存症ギャンブル依存症の人は考えた方が良いこともあるのですが、考えれば考えるほど飲みたくなってしまうだけなので、自分を責めるだけなら考えても仕方がないかと思います。「飲まないと決めたら飲まない」それ以上でもそれ以下でもありません。
マインドフルネスで呼吸に集中するなど、別のことに集中するのは大事かなと思います。

では実際に、辛い時に考えないための方法を自分なりに解説してみます。

<方法1「抑圧」>

・無心になる
思いを無意識下に閉じ込める。頭ごなしに押さえつける感じです。

・別のことを考える

・時が経つのをひたすら待つ

→やりすぎるとヒステリーや解離性人格障害の原因になると言われています。ですが、抑圧は結構有効な方法です。

僕は自衛隊で行軍している時は、「足が痛いな」「腹減った」「眠いな」などと考えながら歩くとキツイので、とにかく無心になる、ワンピースを1巻からストーリーを思い出すとかやっていました。

川越に住んでいた時は、都心の勉強会に参加した後に電車で1時間ほどかけて立ったまま帰るのですが、これも疲れているときは大変でした。音楽を聞いたりとにかく抑圧をしていました。

<方法2「合理化」>

合理化とは、自分なりにルールを課すことです。

例えば僕の場合、国家資格の勉強や受験勉強では解くべき問題や暗記すべきことの総量を考えます。それを3周するとして、試験までの日数をみれば1日にやるべきだいたいの量がわかります。キツイのですがやります。これが終わったらプリンを食べられるなど、終わったらご褒美があるから頑張ろうと合理化していきます。

「あいつもやっているのだから頑張ろう」「あいつに負けたくないからやろう」「あの子も頑張っているから頑張ろう」「これをやったらみんなに褒められるかもしれないから頑張ろう」など心の中の仲間やライバルを作る、理由を作るのも合理化です。

また、「意味がある」と考えるのも合理化です。「これは医者になってからも役に立つのだ」など何でも良いから理由をつけて頑張ります。

ただ、合理化の欠点は他人思考という点です。ご褒美があるから、負けたくないからというのは自分発信ではないので、こればかりだとどこかで心が折れてしまいます。

<方法3「納得する」>

もっとも成熟した方法が「納得する」です。納得すれば考えません。

・答えが出るものを考える
納得するための方法は、「答えが出るのか・出ないのか」をはっきりさせ、答えが出るものについては考え、答えが出ないものについては考えないというスタイルを取ることが大事です。

「答えが出るもの」とは、「行動できる、行動を変えることができるもの」「行動した結果、成果が出るもの」です。これらは考える価値があります。

・適切なタイミングで考える
適切タイミングで考えることも大事です。今考えても仕方がない、また振り出しに戻っても仕方がありません。

決断したら変えないというのも1つです。3ヶ月ごとに見直すことにしたら、3ヶ月はとりあえず考えない。例えば、「ああ…」と悩んでも、次の診察までは考えない、次の診察の時に治療方針を見直そう、とりあえず先生が言っているから変えないでやってみようというのは重要です。

ただ、これの欠点としては理想的すぎる気はします。この問題は答えが出るからとか価値があるからなど、そこまでわかるものでもありません。答えが出るとわかった時点でそれは問題なのかというディスカッションもあるでしょうし、適切なタイミングでといってもついつい悩んでしまうのが人間だと思います。

このように、「考えない」というのは大事な技法だと思います。
僕は考えたくないときは行軍や受験勉強の時を思い出したりします。今はYouTubeを毎日投稿していますが、今日は撮るのが大変だったんです。ですがやると決めたのでやります。
昔のようにお題が決められていたり、受験勉強のように人から決められたことをやるわけでもないし、行軍のように足にマメができるわけでもありません。それに比べればYouTubeははるかに楽なので、まあちょこちょこやるという感じです。

行軍をしたことがなくてもその分耐えてきたこともあるだろうし、耐えたことがないならば今回試しに耐えてみるのも良いのではないかと思います。