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ぬれおちば亭主:しつこい夫と忍耐強い妻

ぬれおちば亭主:しつこい夫と忍耐強い妻

題名:しつこい夫と忍耐強い妻

ある町に、とてもしつこい夫と忍耐強い妻が住んでいました。夫の名はタロウ、妻の名はハナコ。二人は長年連れ添っていましたが、夫のタロウはいくつになっても子供のような性格で、妻のハナコにいつもまとわりついていました。

ある晴れた日、ハナコは友人との約束があったため、タロウに留守番を頼んで出かけました。「ハナコ、いつ帰ってくるの?」と、タロウは何度も聞きましたが、ハナコはにっこり笑って、「夕方には戻るから、大丈夫よ」と言って家を出ました。

しかし、タロウはハナコが出かけると、ひとりでいるのが寂しくて仕方ありませんでした。そこで、彼は思い立って妻の携帯電話に電話をかけました。「ハナコ、今どこにいるの? 大丈夫?」と、心配そうな声で尋ねました。ハナコは苦笑しながら、「大丈夫だって、もう少しで友達に会うからね」と答えました。

タロウはしばらく待ちましたが、やはり気になって仕方ありませんでした。再び電話をかけてみると、「ハナコ、もう友達に会ったの? 楽しい?」と質問しました。ハナコはやや困った様子で、「そうよ、楽しいわ。でも、電話が鳴るたびにちょっと驚くわ」と応えました。

夕方になり、ハナコが帰宅すると、タロウは玄関で待ち構えていました。「ハナコ、おかえり! 楽しかった?」と、興味津々に尋ねました。ハナコは苦笑しながら、「ええ、楽しかったわ。でも、あなたが何度も電話してくるから、みんなに笑われちゃったわよ」と言いました。

タロウは照れくさそうに笑って、「ごめんね。でも、ハナコが心配で仕方なかったんだ」と弁解しました。ハナコはため息をつきながらも、夫の気持ちを理解し、「仕方ないわね。でも、今度はもう少し自分で楽しんでいてね」と言いました。

それから、タロウはハナコの言葉を大切にし、自分で楽しむ方法を見つけ始めました。彼は趣味を持ったり、近所の友達と遊んだりすることで、ハナコが外出している間も自分で楽しむことができるようになりました。

ある日、タロウは気になる釣り道具を見つけ、ハナコに報告しました。「ハナコ、これから釣りにハマるかもしれない!」と、興奮気味に話しました。ハナコは笑顔で「それはいいわね。私が友達と遊んでいる間、あなたも楽しい時間を過ごしてね」と言いました。

タロウは新たな趣味に没頭し、ハナコと離れた時間も楽しむことができるようになりました。そして、夫婦はお互いの時間を大切にしながら、互いを支え合う関係を築いていったのです。

やがて、町の人々もタロウが成長したことに気づき始めました。彼はユーモラスな性格はそのままに、ハナコとの距離感をうまく保ちながら、新たな自分を見つけていたのです。そして、二人は笑い合いながら、これからも共に幸せな時間を過ごすことでしょう。