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人生論|トルストイ

 

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生命とは何か。幸福とは何か。
ロシアの大文豪にして大思索家が到達した、究極の哲学的考察。

いっさいの自己愛を捨て、理性的意識に生きることによってのみ、人間は真の幸福を獲得することができる――。
人間いかに生きるべきか? 現世において人間をみちびく真理とは何か? 永年にわたる苦悩と煩悶のすえ、トルストイ自身のこの永遠の問いは、本書にみごとに結実した。誤ることのない鋭い観察力と、愛の直感と心の目で綴った、人生についての内面的、哲学的な考察。

本文より
人はだれしも、自分が快適になれるために、自分の幸福のためにのみ生きている。自分の幸福を望む気持を感じないなら、その人は自分を生きていると感じていない。自分の幸福を望む気持なしに、人は人生を想像できないものだ。一人ひとりの人間にとって、生きるということは、幸福を望み、獲得することと同じだし、幸福を望み獲得することは、生きることと同じである。
人はおのれのうちにのみ、おのれの個我のうちにのみ、生命を感じる。だから、はじめは自分の望んでいる幸福が自分個人だけの幸福であるように思われる。……(第一章)

トルストイ Tolstoj, Lev N(.1828-1910)
19世紀ロシア文学を代表する巨匠。ヤースナヤ・ポリャーナに地主貴族の四男として育つ。ルソーを耽読し大学を中退後、暫く放蕩するが、従軍を機に処女作『幼年時代』等を発表、賞賛を受ける。帰還後、領地の農民の教育事業に情熱を注ぎ、1862年の幸福な結婚を機に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』を次々に完成。後、転機を迎え、「神と人類に奉仕する」求道者を標榜し、私有財産を否定、夫人との不和に陥る。1899年『復活』を完成。1910年、家出の10日後、鉄道の駅長官舎で波瀾の生涯を閉じた。

原卓也(1930-2004)
東京生れ。東京外国語大学ロシア語科卒。同大教授、学長を歴任。トルストイ、チェホフ、ドストエフスキー等の翻訳多数。著書に『スターリン批判とソビエト文学』等。